薬局で薬剤師の人数が多いと、「あの人、手が空いてるな」「誰かがやるだろう、みたいな空気があるな」と感じることがあります。正直、私もヘルプでいろいろな店舗に入るようになってから、そう感じる場面がありました
ただ、実際にその店舗で働いてみると、薬剤師が座っているからといって暇とは限りません。
監査や薬歴、疑義照会、在宅対応、電話対応、欠品への対応など、外からは見えにくい仕事もあります。
一方で、人数が多いことで「誰かがやるだろう」となり、一部の人に仕事が偏っているように見える店舗があるのも事実。じゃあ、薬剤師が多い薬局は本当に「怠けている人が多い」のか。
私は、単純に人数だけでは判断できないと思っています。(本気で怠けている人もいますけど笑)
この記事では、薬剤師の人数が多い店舗で感じた「これ、薬局あるあるかも」という場面を7つ挙げながら、なぜそう見えるのか、実際には何が起きているのかを整理していきます。
「薬剤師が多い=働きやすい」とも、「薬剤師が多い=暇」とも限りません。大事なのは、人数ではなく、その人数でどうやって仕事を回しているか。今回は、そんな視点で見ていきます。
薬局で薬剤師人数が多いと怠ける?現場あるある7つ
薬局に薬剤師が多いこと自体は、悪いことではありません。急な欠勤に対応できたり、監査を相談できたり、一人に負担が集中しにくかったり。人数に余裕があるからこそできることもあります。
一方で、人数が多いことで「この人、暇そうだな」「誰かがやるだろう、という空気があるな」と感じる場面もあります。ここでは、そんな「あるある」を7つ挙げてみます。
投薬担当だけが忙しく見える
投薬窓口に立っている薬剤師は、患者さんとのやり取りが続くので、とにかく忙しそうに見えます。一方で、監査や調剤、薬歴、疑義照会などをしている薬剤師は、座ってパソコンを操作していることも多い。待合室から見える範囲だけなら、「あの人はずっと座っているな」と思われても不思議ではありません。
でも、実際には患者さんから見えないところで仕事をしていることがあります。これ、薬局ではけっこうあります。
薬歴を書く時間が見えにくい
患者さんに薬を渡したら終わり、ではありません。服薬指導の内容や副作用、残薬、疑義照会の内容などを薬歴に残す必要があります。
薬剤師がパソコンに向かっている時間は、外から見ると何をしているのか分かりにくいものです。特に患者さんが少ない時間帯だと、「暇だからパソコンを触っている」と見られてしまうこともあります。
実際には、さっき対応した患者さんの薬歴を書いているだけ、ということもあります。
薬剤師の人数と「実際に動ける人数」が合わない
シフト表を見ると薬剤師が5人。でも、その時間に調剤室にいるのは3人。なんてこともあります。
短時間勤務、休憩、在宅訪問、管理業務などがあれば、在籍している人数と、その時間に店舗で動ける人数は違ってきます。さらに、経験の浅い薬剤師が多ければ、人数が多くても全員が同じ仕事を任せられるわけではありません。
「薬剤師が5人もいるのに、なんでこんなに忙しいの?」と思ったときは、人数だけではなく、その時間に誰が何をしているのかを見る必要があります。
仕事ができる人に業務が偏る
これは、人数が多い薬局でも起こります。仕事が速い人、患者さんへの説明が上手な人、医師への疑義照会が得意な人。そういう人には、いつの間にか難しい仕事が集まってきます。
「この人に任せておけば大丈夫」と思われているからです。その結果、忙しい人はずっと忙しい。一方で、他の人は手が空いているように見える。
すると、「薬剤師はたくさんいるのに、結局いつも同じ人が働いている」という不満が出てきます。これは、単純に誰かが怠けているというより、仕事の振り分け方の問題かもしれません。
「誰かがやる」仕事が残る
人数が多いと、逆に担当が曖昧になる仕事があります。
期限切れ医薬品の確認、調剤棚の補充、在庫差異の確認、薬歴の未記載確認などです。「これ、誰がやるんだっけ?」となると、目の前の患者対応が優先され、後回しになりがちです。
一人薬剤師なら自分がやるしかありません。でも、何人もいると、「誰かがやるだろう」が起こりやすい。そして、結局いつも気づいた人がやる。これも、人数が多いからこそ起こる「あるある」だと思います。
ピークを過ぎると暇そうに見える
薬局は一日中同じ忙しさではありません。午前中に処方箋が集中して、午後は落ち着く。夕方にまた患者さんが増える。そんな店舗もあります。
ピークを過ぎて薬剤師が何人もいると、外から見ると「暇そう」に見えます。ただ、その時間に薬歴を書いたり、在庫を確認したり、次の処方箋に備えたりしていることもあります。
逆に、業務が一段落して本当に手が空いていることもあります。ここは「薬剤師が多いから暇」と決めつけず、その場面だけで判断しないことも大事です。
雑談が多いと「怠けている」と思われやすい
これはちょっと難しいところです。
薬剤師同士の会話には、処方内容の確認や患者さんの情報共有など、仕事に必要なものもあります。ただ、明らかに仕事とは関係のない雑談が長く続いていると、周囲が「怠けている」と感じるのも無理はありません。
特に、隣で忙しい人が投薬や調剤に追われていると、「こっちはこんなに忙しいのに……」という不満につながりやすい。
人数が多い職場では、こうした差が目につきやすいのかもしれません。だからこそ、雑談そのものをなくすというより、仕事が偏っていないかを見るほうが大事だと思います。
薬剤師人数が多くても暇とは限らない理由
薬剤師が何人いるかだけを見て、「この薬局は暇そう」と判断するのは少し難しいです。同じ人数、同じ処方箋枚数でも、店舗によって忙しさはかなり違います。
処方箋枚数だけでは業務量を測れない
例えば、同じ100枚でも、処方内容や患者さんの状況によってかかる時間は変わります。一枚にかかる時間が短い処方もあれば、確認することが多く、患者さんとのやり取りに時間がかかる処方もあります。欠品や急な問い合わせなど、予定していた業務だけでは収まらないこともあります。
そのため、「今日は100枚だから薬剤師5人なら余裕がある」と単純には考えられません。
店内にいない薬剤師もいる
「薬剤師が5人いるはずなのに、なぜか人が少ない」こんなこともあります。
在宅や研修、休憩、管理業務などで、その時間に店舗を離れている人がいるからです。シフト上の人数と、今この瞬間に店舗で動ける人数は別物です。さらに、経験年数や得意分野によって任せられる仕事も違います。人数だけを見ても、実際の戦力までは分かりません。
「忙しい・暇」の基準も人によって違う
ここも意外と大きいと思います。患者さんの対応が続いている人からすると、座って仕事をしている人は暇そうに見える。逆に、細かい確認や判断が続いている人からすると、「患者さんが少ないから暇」という感覚にはなりません。同じ店舗にいても、担当している仕事によって忙しさの感じ方は変わります。
だからこそ、「薬剤師が何人いるか」だけではなく、その時間に誰が何をしているのかを見ることが大切です。
実際に『仕事が偏っている』と感じる職場の特徴
ここまで、「薬剤師が多いからといって暇とは限らない」という話をしてきました。
では逆に、実際に働いていて「この店舗、ちょっと仕事が偏っているな」と感じるのはどんなときでしょうか。
私が気になるのは、このあたりです。
役割分担が曖昧
「これ、誰がやるんだろう?」こうなる店舗は、どうしても気づいた人に仕事が集まります。
最初はちょっとしたことでも、それが積み重なると「また私がやってる」という状態になっていきます。逆に、担当がはっきりしている店舗では、誰か一人に仕事が集中しにくい。人数が多いか少ないかより、誰が何をするのかが決まっているかは大きいと思います。
忙しさの基準が人ごとに違う
これも、現場で感じることです。「今日は患者さんが少ないから暇」という人もいれば、「今日は細かい確認が多くて疲れた」という人もいます。
それぞれが自分の仕事を基準に忙しさを判断していると、「自分ばかり忙しい」という不満が出やすくなります。仕事量だけではなく、途中で何度も呼ばれる、判断が必要な仕事が続くなど、数字では見えにくい負担もあります。
仕事の偏りが、そのままになっている
私が店舗に入っていて気になるのは、仕事の偏りそのものよりも、それが当たり前になっている状態です。
いつも同じ人が動いている。いつも同じ人が細かい仕事に気づいている。
でも、それを見ている人がいても、特に何かが変わるわけではない。そうなると、忙しい人は「なんで私ばっかり」となりますし、周りも「誰かがやってくれる」という状態になりやすい。
こういう店舗では、人数が多いことが逆に分かりにくさにつながっているのかもしれません。「薬剤師が何人いるか」より、その人数で仕事がきちんと回っているかを見るほうが大事だと感じます。
薬剤師人数が多い薬局で働くメリット
ここまで書くと、「じゃあ薬剤師が多い店舗って、あまり良くないのでは?」と思われそうですが、もちろんそんなことはありません。やっぱり人がいることの安心感はあります。
急な休みでも何とかなる
誰かが休んでも、店舗全体が一気に回らなくなる感じが少ないです。子どもの体調不良など、急に休まなければならないこともありますよね。人数に余裕がある店舗だと、「休んだら迷惑をかける」というプレッシャーが少なくなります。これは働く側として、けっこう大きいです。
分からないことを聞ける
一人で判断しなければならない場面が少ないのも、人数が多い店舗の良さだと思います。「これ、どうしてます?」と、その場で聞ける。一人で抱え込まなくていい環境は、やっぱり安心します。
ちょっとした余裕が生まれる
人数が多いからといって、いつも暇になるわけではありません。でも、忙しい時間帯でも誰か一人にすべてが集中しにくい店舗はあります。「忙しいけど、誰かに頼れる」。こういう状態なら、薬剤師が多いことはむしろメリットです。
仕事を偏らせないために
薬剤師が多い店舗ほど、「誰かがやるだろう」が起こりやすいことがあります。
だからといって、全員が常に忙しく動いている必要はありません。大事なのは、手が空いた人が何をするのかが分かる状態にしておくことだと思います。
空いた時間にやることを決めておく
「今、何をしたらいいですか?」新人やヘルプの薬剤師から、こう聞かれることがあります。
逆に、やることがある程度決まっていれば、いちいち指示を待つ必要もありません。空いた時間にやることをいくつか決めておくだけでも、「誰かがやるだろう」は減らせます。
「暇そう」に見える人をすぐ評価しない
これはこの記事の最初から書いてきたことでもあります。座っているから暇。雑談しているから怠けている。人数が多いから余っている。外から見ただけでは、そこまでは分かりません。
ただ、本当に仕事が偏っているなら、そこは「怠けている人がいる」で終わらせず、店舗全体の仕事の回し方を見る必要があると思います。
薬剤師の人数だけでは、薬局の働きやすさは分からない
薬剤師の人数が多いと、「あの人、暇そうだな」と見える場面は確かにあります。でも、人数だけでは、その店舗が暇なのか、仕事が偏っているのかまでは分かりません
人数が多くても、うまく回っている店舗はあります。逆に、人数がそれなりにいるのに、いつも同じ人が動いている店舗もあります。結局、大事なのは「薬剤師が何人いるか」より、その人数で仕事がどう回っているかなんだと思います。
転職先を探すときも、求人票に書かれている薬剤師の人数だけで判断するのは難しいです。実際に働いてみないと分からない部分も多いですが、面接や職場見学で「仕事の分担はどうなっているか」「休みが出たときはどうしているか」などを聞いてみると、その店舗の雰囲気が少し見えてくるかもしれません。
「薬剤師が多い=怠けている人が多い」ではない。でも、「人数が多いから安心」とも限らない。いろいろな店舗を見てきて、今の私はそんなふうに考えています。
私自身、薬局をいろいろ見てきて思うのは、求人票だけでは分からないことがかなり多いということ。
だからこそ、すぐに転職を決める必要はありませんが、今の職場と他の薬局を比べてみるだけでも、自分の働き方を考えるきっかけになります。


