訪問薬剤管理指導の流れ|薬局で在宅業務を始めるときに確認したいこと

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「在宅業務を始めたいけど、何から手をつければいい?」薬局で在宅業務を担当することになったとき、意外と迷うのが依頼を受けてから実際に訪問するまでの流れではないでしょうか。患者さんの情報収集、初回訪問、契約、調剤、その後の記録や情報共有。訪問する以外にも、やることはたくさんあります。
私自身、以前は在宅部門で仕事をしていました。今回、ある店舗の在宅業務を一から見直すことになり、改めて業務の流れを整理することに。
この記事では、私の経験も交えながら、訪問薬剤管理指導の流れと、薬局で在宅業務を始めるときに決めておきたいことをまとめます。

目次

訪問薬剤管理指導とは?

訪問薬剤管理指導とは、薬剤師が患者さんの自宅などを訪問し、薬の管理や服薬状況を確認する業務です。薬の飲み方や残薬、副作用などを確認し、必要に応じて医師やケアマネジャーなどと情報を共有します。
ただ、実際の業務は訪問だけではありません。依頼を受けてからの準備や契約、その後の調剤、記録、情報共有まで、一連の流れを考える必要があります。

薬局で在宅業務を始めるときの流れ

まずは、患者さんの紹介を受けてから、継続的な訪問につなげるまでの流れを整理します。

① 依頼元と患者さんの基本情報を確認する

在宅患者さんの依頼元は、医療機関やケアマネジャー、患者さん本人、ご家族などさまざまです。
依頼を受けたら、まずは分かる範囲で基本情報を確認します。

  • 誰からの依頼なのか
  • 患者さんの氏名や訪問先
  • 主治医や医療機関
  • ケアマネジャーの有無
  • キーパーソンは誰なのか

最初に情報を整理しておくと、その後の連絡や訪問準備を進めやすくなります。

② 関係する医療・介護職に連絡し、情報を集める

必要に応じて、ケアマネジャーや医療機関などに連絡し、患者さんの状況を確認します。
例えば、利用している介護サービスや訪問看護の有無、デイサービスで不在になる日など。こうした情報は、訪問日を調整するときにも役立ちます。薬局だけでは分からないことも多いため、関係者と情報を共有しながら、患者さんの生活状況を把握していきます。

③ 初回訪問の日程を調整する

必要な情報を集めたら、患者さんやご家族、必要に応じて関係職種と連絡を取り、初回訪問の日程を調整します。訪問する薬剤師や、事前に準備する書類なども確認しておきます。
初回訪問では、契約の手続きに加えて、残薬や服薬状況、生活環境なども確認します。聞き漏らしがないよう、事前に確認項目を整理しておくと安心です。

④ 初回訪問で契約・残薬などを確認する

私の会社では、初回訪問はできる限り定期処方を受け付ける前に行っています。患者さんやご家族に薬剤師が関わる内容を説明し、必要な契約手続きを進めます。同時に、今後の服薬管理に必要な情報も確認します。

  • 現在飲んでいる薬
  • 残薬の種類や量
  • 薬の保管場所
  • 薬の管理方法
  • 服薬状況
  • ご家族のサポート状況

特に確認しておきたいのが、残薬です。処方どおりに飲めていると思っていても、実際には薬がかなり残っていることがあります。飲み忘れなのか、薬が飲みにくいのか、処方内容と実際の服用状況にずれがあるのか。残薬の量だけでなく、その理由も確認することが大切です。
初回訪問は、契約を済ませるだけでなく、これからどのような服薬支援が必要なのかを考える機会でもあります。

⑤ 確認した内容を整理し、定期処方につなげる

初回訪問で確認した内容を整理し、今後の薬剤管理に反映させます。残薬が多ければ、その原因を確認する。薬の管理が難しければ、一包化やカレンダーなどの方法を検討する。
必要に応じて、医師やケアマネジャーなどにも情報を共有します。
その後、定期処方を受け付け、処方内容を確認して調剤します。処方変更があった場合は、変更内容や開始時期なども確認し、必要な準備を進めます。

⑥ 継続的な訪問・記録・情報共有を行う

定期的な訪問が始まったら、服薬状況や残薬、副作用などを継続して確認します。
そして、訪問して終わりではありません。確認した内容を記録し、必要な情報を医師やケアマネジャーなどと共有して、次の服薬支援につなげていきます。
患者さんの状態や生活環境は変化します。訪問のたびに状況を確認し、必要な対応を考えていくことが大切です。

在宅業務を始めるなら、薬局で決めておきたいこと

ここまでが、訪問薬剤管理指導のおおまかな流れです。ただ、実際に薬局で運用するとなると、別の問題も出てきます。
依頼を受けるのは誰か。初回訪問までの準備は誰が進めるのか。確認した情報はどこに残すのか。こうしたことが曖昧なままだと、「誰かがやってくれると思っていた」ということにもなりかねません。
在宅業務を担当者任せにしないために、薬局内で決めておきたいことを整理します。

依頼を受けたときの対応を決めておく

在宅の依頼が来たとき、誰が対応し、何を確認して、次にどう進めるのかを決めておきます。
依頼元によって必要な対応は変わるため、医療機関やケアマネジャーなど、依頼元ごとの流れを整理しておくとスムーズです。

初回訪問までの担当者を決めておく

依頼を受けた後は、情報収集や日程調整、訪問に必要な書類の準備など、いくつもの作業が発生します。それぞれの担当が曖昧だと、必要な連絡や準備が抜けてしまうこともあります。
誰が依頼を受け、誰が情報を集め、誰が初回訪問の準備を進めるのか。担当者と役割を決めておくと、対応の抜けを防ぎやすくなります。

初回訪問・契約時のチェックリストを作っておく

初回訪問では、保険情報や残薬だけでなく、その後の在宅業務に必要な細かな情報も確認します。私が実際に使っているチェックリストには、例えば次のような項目があります。

  • キーパーソンの氏名・続柄・連絡先
  • ケアマネジャーの事業所・連絡先
  • 家族構成
  • 医療保険・介護保険・公費の状況
  • 薬の保管場所や管理方法
  • 一包化やカレンダーなどの使用状況
  • 残薬の量や、今後の扱い
  • 薬袋や分包への印字内容
  • お薬手帳や連携ノートの有無
  • 他の医療機関の受診状況
  • 医師の往診日や訪問日の希望
  • 駐車・駐輪スペース

実際には、薬の管理方法だけでなく、家族構成や連絡先、訪問時の環境なども確認しています。こうした情報は、初回訪問のときに確認しておかないと、後から改めて聞くことになる場合があります。
チェックリストを使い、必要な情報を一つずつ確認できるようにしておく。 それだけでも、聞き漏らしを防ぎやすくなります。

情報をどこに残すか決めておく

せっかく確認した情報も、担当薬剤師のメモにしか残っていなければ、ほかの人が必要なときに確認できません。初回訪問で確認した内容をどこに記録するのか。店舗内で共有する情報は何か。薬歴には何を残すのか。情報の置き場所や共有方法も、あらかじめ決めておきたいところです。

担当薬剤師が休みでも分かる状態にしておく

在宅業務では、担当薬剤師が休むこともあります。そのときに「この患者さんのことは担当者しか分かりません」では、薬局として困ります。少なくとも、次の訪問予定や最近の状況、注意しておきたいこと、連絡が必要な相手などは、ほかの担当者も確認できる状態にしておきたいところです。
担当者が休んでも、必要な対応が止まらない。そんな仕組みを作っておくことが大切です。

担当者が変わっても進められる仕組みにする

最初から完璧なマニュアルを作る必要はありません。まずは、依頼を受けたときの対応、初回訪問までの準備、契約時の確認事項、記録や情報共有の方法。このあたりを決めておくことから始めればいいと思います。
実際に運用してみて、分かりにくいところや足りない項目があれば、少しずつ修正していく。私自身、今回在宅業務を一から見直すことになって、改めて感じたことです。
できる薬剤師を一人作るだけでなく、誰が担当しても必要な業務を進められるようにする。それが、薬局として在宅業務を続けていくために必要なのだと思います。

今回、在宅業務を一から見直して感じたこと

今回、ある店舗の在宅業務を見直すことになったきっかけは、患者さんからの苦情が本部に届いたことでした。私自身、以前は在宅部門で仕事をしていました。現状を確認したときは、正直なところ「これは一度、きちんと整理し直さないといけないな」と感じました。
最初は、業務の改善や指導をする役割だと聞いていました。ところが、実際に状況を確認していくと、部分的な修正だけでは難しく、患者さんの受け入れから訪問、その後の記録や情報共有まで、流れそのものを見直す必要がありました。結果として、一から組み立て直すような仕事になっています。

「知っている人がいるから大丈夫」では回らない

経験のある人がいると、分からないことはその人に聞き、困ったことがあればその人が対応する。それで何となく業務が回っていることがあります。でも、その人が休んだら? 異動したら?そこで初めて、決まった手順がなかったことや、情報が十分に共有されていなかったことに気づく場合があります。
経験や知識のある薬剤師はもちろん大切です。ただ、その人の経験や記憶だけに頼ってしまうと、担当者が変わったときに業務が止まってしまうかもしれません。だからこそ、基本的な手順や確認事項は、誰が見ても分かる形にしておく必要があると感じました。

マニュアルは、作って終わりではない

業務の流れを整理し、チェックリストを作っても、それだけで解決するわけではありません。実際に使ってみて、確認項目が足りなかったり、逆に細かすぎて使いにくかったりすることもあると思います。現場で使えること。必要な情報が確認できること。担当者が変わっても引き継げること。こうした点を確認しながら、少しずつ整えていく必要があります。
マニュアルは、作ることがゴールではなく、現場で使えて初めて意味があるものだと思います。

在宅業務は、訪問するだけではない

在宅業務というと、患者さんの自宅を訪問して、薬や服薬状況を確認する場面を思い浮かべるかもしれません。でも、実際には依頼の受付、情報収集、契約、調剤、記録、関係者との情報共有など、その前後にも多くの仕事があります。どこか一つが曖昧になれば、次の工程にも影響することがあります。だからこそ、訪問時の対応だけでなく、その前後も含めて業務全体を考えることが大切なのだと思います。
今回の見直しも、まだ途中です。実際に運用しながら、必要なところを修正していくことになると思います。
在宅業務をこれから始める薬局でも、すでに取り組んでいる薬局でも、一度、業務の流れや確認事項を整理してみると、改善できる部分が見つかるかもしれません。

在宅業務をもっと詳しく学びたい方へ

在宅業務を始めるにあたって、基本的な流れだけでなく、訪問準備や契約、実際の対応についても詳しく学びたい方は、実務書を参考にするのも一つの方法です。
『在宅医療のいろは ストーリーで学ぶ訪問薬剤師業務』は、在宅医療の始め方から訪問準備まで学びたい薬剤師に向けた一冊です。
実際の業務を整理するときの参考資料として、気になる方はチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

調剤薬局一筋の薬剤師。転職8回、すべて調剤薬局。
生活習慣の見直しを患者様と一緒に考えていくうちに栄養系資格に興味。
食生活アドバイザー2級取得。1級試験に向けて勉強中。
EMSジムでダイエットにも励んています。

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