私は英語が苦手です。薬剤師なので、外国人の患者さんが来ると「英語が話せたら便利なのにな」と思うことはあります。
とはいえ、最近は翻訳アプリを使ってくれる患者さんも増えて、英語を含めて外国語がまったく話せなくても、なんとか対応できる場面が増えました。
実際、こんなことがありました。
ある日、クリニックから「英語以外の外国語を話す患者さんが来ているけど、そちらで対応できますか?」と問い合わせがありました。「翻訳アプリを使える方なら大丈夫です」と答えたところ、来局した患者さんは、なんと英語なら通じる人。
じゃあ英語で対応すればいいか、となったのですが……私は英語が苦手です(笑)。結局、英語を話せるわけでもなく、翻訳アプリを使って対応しました。ちなみに、最初に聞いていた「英語以外の外国語」が何語だったのかは、最後まで分かりませんでした。文字すら読めません。
こんな私ですが、最近ちょっと気になっています。
薬剤師が英語を使える仕事って、実際にはどんなものがあるんだろう?
そこで今回は、薬剤師の私が、英語を使える仕事について調べてみました。
薬剤師が英語を使う仕事って、どんなものがある?
薬剤師が英語を使う仕事と聞いて、最初に思いつくのは何でしょうか。私は、外国人の患者さんが来る薬局くらいしか思いつきませんでした。でも、今回調べてみたら、意外といろいろあります。
① 外国人患者の対応がある薬局
一番イメージしやすい仕事です。外国人の患者さんに、薬の飲み方や使い方を説明したり、症状を聞いたりします。私自身、最近は翻訳アプリを使ってもらえば何とかなる場面が増えました。もちろん、自分で英語が話せればもっとスムーズ。でも、翻訳アプリや資料を使いながら対応する方法もあります。
外国人患者さんへの対応では、実際にどんな英語を使うのでしょうか?
薬局で使いやすい英語フレーズをこちらの記事にまとめました。

② 病院薬剤師
病院でも、外国人患者への対応などで英語を使う場面があります。持参薬の確認や服薬指導、退院時の説明などですね。私は病院薬剤師ではないので、実際にどの程度英語を使うのかまでは分かりません。ただ、「病院=英語を使わない」というわけではなさそうです。
③ ドラッグストア
ドラッグストアでも、外国人のお客さんへの対応で英語を使う機会があります。薬だけではなく、衛生用品などについて聞かれることもあります。ここでも、流暢な英会話というより、必要なことを聞いて、必要なことを伝えることが大事なのではないかなと思います。
④ 製薬会社の薬事
ここから、私には少し馴染みのない世界です。調べてみると、薬剤師が英語を活かせる仕事として「薬事」もありました。医薬品の承認申請や規制への対応などに関わる仕事で、外資系企業などでは海外本社とのやり取りや英文資料を扱う場面もあるようです。「薬剤師+英語」と考えたときに、こういう仕事もあるんだな、と今回初めて意識しました。
⑤ 臨床開発
新しい薬を世の中に出すまでには、さまざまな開発業務があります。その中には、治験に関わる仕事もあります。国際共同治験などでは、英文資料を読んだり、海外の関係者とやり取りしたりする場面もあるようです。もちろん、英語だけではなく、治験や医薬品開発についての知識も必要になります。
⑥ 安全性情報
医薬品の副作用などに関する情報を集めたり、内容を確認したりする仕事です。海外から入ってくる情報を扱う場合には、英文を読むこともあります。薬局で患者さんと英語で会話するのとは、かなり違います。どちらかというと、英語を読んで、医薬品に関する情報を正確に扱う仕事というイメージです。
⑦ メディカルライター
医薬品や医療に関する文章を書く仕事です。英文の論文や資料を読んで、それをもとに文章を書く場面もあります。これは、英語だけではなく、薬のことが分かること+文章を書くことが必要になる仕事ですね。ブログを書いている私としては、ちょっと気になる仕事です。もちろん、ブログとメディカルライティングは別物ですが(笑)。
⑧ 医療翻訳
医療や医薬品に関する文章を翻訳する仕事です。治験関連の文書や論文、医薬品に関する資料など、扱うものはいろいろあるようです。単純に英語を日本語に訳せばいいわけではなく、医療や医薬品についての知識も必要になります。こちらも私は経験がないので、実際の仕事内容や必要なスキルについては求人などを個別に確認したほうがよさそうです。
英語の使い方は、仕事によって全然違う
今回調べてみて、一番思ったのはこれです。「英語を使う薬剤師の仕事」といっても、英語の使い方が全然違う。
外国人患者さんと話す仕事もあれば、英文資料を読む仕事もある。メールを書く仕事もあれば、医療文書を翻訳する仕事もある。つまり、「英語が話せるようにならないと、英語を活かした仕事はできない」というわけではなさそうです。
私自身、英語は苦手。それでも、外国人患者さんが来たときは翻訳アプリを使って何とか対応しています。そう考えると、英語を勉強するとしても、まずは「英語ペラペラ」を目指す必要はないのかもしれません。
薬剤師の英語って、話せることだけが大事じゃない
先に結論から言うと、私は薬剤師が英語を使うとき、英語をペラペラ話せることよりも、必要な情報を正確に伝えられることのほうが大事だと思っています。もちろん、英語が話せたほうが便利です。
でも、薬剤師の仕事で大切なのは、英会話そのものではありません。薬の飲み方を伝える。アレルギーを確認する。症状を聞く。「この薬は飲み切るのか、頓服なのか」を説明する。結局は、患者さんに必要なことが伝わっているかです。
薬局では、英語を話すことより「伝わること」が大事
以前、外国人の患者さんに薬をお渡ししたときのことです。インフルエンザの治療薬が処方されているのに、「自分は頭痛と咳があるだけで、インフルエンザではない」と、きっぱり。……先生、せめて診断は伝えてください(笑)。
さらに、薬袋に書いてある「1日2回、朝と夜に1回1錠、5日分」というところまでは理解してもらえました。ところが、その先に、「全部飲むの?」という質問が。
しかも、処方された薬すべてについてです。今日からすぐに飲み始めて飲み切る薬。症状が良くなったら中止できる薬。今後、症状が出たときに飲む薬。
一つずつ説明して、何とか理解してもらえました。このときは、英語がどうこうというより、薬について必要なことをどう伝えるかで必死でした。しかも感染症の患者さんだったので、できるだけ対面で話す時間は短くしたい。でも、伝わっているかは確認したい。このあたりが重なって、私もかなり焦りました。英語がペラペラだったら、もっとスムーズだったのかもしれません。
でも、実際の薬局では「難しい英語を話せること」より、必要なことを正確に伝えて、相手が理解できたか確認することのほうが大事なんだと思います。
英語を「読む」仕事もある
今回調べていて、個人的に「なるほど」と思ったのがここです。製薬会社やCROなどでは、英文の資料や論文、海外からの情報を読む仕事があります。つまり、英語を話すのが苦手でも、「読むのはそこそこできます」という人なら、活かせる仕事があるかもしれません。
もちろん、実際の求人では英語以外の知識や経験も必要です。なので、「英語さえできれば転職できる」という話ではありません。ただ、英語力にもいろいろあるんだな、というのは今回調べてみて分かりました。
「話す・読む・書く」のどれが必要なのかは仕事次第
薬剤師が英語を使う仕事をざっくり分けると、
- 患者さんと話す
- 英文を読む
- 英語でメールを書く
- 英文を日本語にする
- 日本語を英語にする
など、かなり違います。だから、「英語を勉強しよう」と思ったとしても、いきなりTOEICの点数だけを目標にするより、自分は何のために英語を使いたいのかを考えたほうがよさそうです。
私の場合は、まず外国人患者さんへの対応。そう考えると、一般的な英会話より、医療英語を勉強したほうが私には合っているのかも。
英語が苦手な私も、医療英語を勉強してみようと思った
ここまで書いてきて、私も少し英語を勉強してみようかなと思うようになりました。とはいっても、英語が好きになったわけではありません(笑)。むしろ、今でも苦手です。
翻訳アプリがあれば何とかなる。それでも、薬剤師として働いているなら、薬の説明くらいは自分の言葉でできたほうが便利です。「この薬は飲み切ってください」「症状が良くなったらやめて大丈夫です」「症状が出たときに飲んでください」こういう、薬局でよく使う表現くらいは自分で言えたらいい。そう思うようになりました。
一般的な英会話より、まずは医療英語
英語を勉強するといっても、何から始めればいいのか。私は、旅行英会話を覚えたいわけではありません。仕事で使いたい。しかも薬剤師なので、できれば薬局で使う英語を覚えたい。だったら最初から医療英語を勉強したほうが早いんじゃない?と思いました。覚えたものを、そのまま仕事で使える。このほうが、私には続けやすそうです。
「英語を勉強する」ではなく「英語で何をするか」
今回、薬剤師が英語を使う仕事について調べてみて、ここも大事だと思いました。ただ「英語ができるようになりたい」だけだと、私なら途中で何を勉強したらいいのか分からなくなりそうです。でも、「外国人患者さんに薬の説明ができるようになりたい」なら、勉強する内容がかなり具体的になります。
まずは薬局で使う表現を覚える。聞き取れるようにする。自分でも言えるようにする。分からないときは翻訳アプリも使う。このくらいから始めてもいいんじゃないかなと思っています。
英語が苦手な私が、いきなりペラペラを目指してもたぶん続きません(笑)。だったら、今の仕事で使えるところから少しずつ。だったら、今の仕事で使えるところから少しずつ。そう考えるようになりました。
医療英語を勉強するなら?私が見つけた「HLCA」
じゃあ、実際にどうやって勉強するのか。本を買って独学する方法もあるし、YouTubeやアプリを使う方法もあります。ただ、私は一人でコツコツ勉強するのがあまり得意ではありません。そこで、医療英語を学べるオンラインスクールを探してみました。
見つけたのが、HLCAです。薬剤師向けのカリキュラムもあるようなので、「こういうのなら、私が勉強したいことに近いかも」と、ちょっと気になっています。
HLCAでは、薬剤師を含む医療職種ごとのカリキュラムが用意されているそうです。公式サイトを見てみると、薬剤師向けの服薬指導のロールプレイも紹介されていました。こういう、実際の薬局で使う場面を想定した勉強なら、私が今やりたいことにも近そうです。
まだ私自身が受講したわけではありません。なので、「おすすめです」とまでは言えません。まずはどんな内容なのか見てみようかな、という段階です。
私なら、まず「薬局で使う英語」から始めたい
今の私が医療英語を勉強するなら、まずは薬局で使う英語です。外国人患者さんが来たときに、「今日はどうしましたか?」「この薬は1日○回です」「この薬は飲み切ってください」「症状が良くなったら中止してください」といったことを、自分の言葉で言えるようになりたい。全部を英語で完璧に話せる必要はないと思っています。分からないときは翻訳アプリも使う。でも、よく使う表現くらいは自分で言える。そのくらいから始めてみたいです。
英語が苦手でも、薬剤師として英語を使う機会はある。今回調べてみて、それなら私も少しずつ勉強してみようかな、と思うようになりました。

