薬剤師の働き方を調べていると、「ラウンダー」という働き方を目にすることがあります。
一般的には、特定の店舗に固定されず、複数の店舗を回りながら欠員補充や応援などをする働き方です。
ただ、実際の仕事内容や立場は会社によってかなり違います。
私の場合も、いわゆる「ラウンダー」に近い働き方ではありますが、会社にラウンダーという役職があるわけではありません。
では、実際に働いてみると何が変わったのか。
ここからは、私自身の経験を書いていきます。
薬剤師ラウンダーになって、何が変わった?
管理薬剤師から外れて、複数店舗を回る働き方になりました。「ラウンダー」と呼ばれることもありますが、会社にエリアマネージャーという席があるわけではありません。
本部から説明されているのは、今のところ「欠員が出た店舗に入る」ということ。
管理薬剤師より上の立場になったわけでも、特別な権限を持ったわけでもありません。
担当するのは7〜8店舗程度。
これまでのように一つの店舗に固定される働き方とはかなり違います。
それなのに、実際に店舗へ行ってみると、
「そのうち本部に行く人なのでは?」
と警戒されることがあります。
ただの欠員補充なので仲良くしてください(泣)
一つの店舗を「自分の店」として見る必要がなくなった
管理薬剤師だった頃はその店舗のことを考えるのが仕事の中心でした。
スタッフのこと。
店舗の業務のこと。
在庫や患者さんのこと。
「この店をどう回すか」を考えていました。
今は違います。
今日はA店、明日はB店。一日一店舗で働きますが、翌日にはまた別の店舗へ行くことがほとんど。
同じ会社なのに、店舗によって雰囲気も仕事の進め方もかなり違います。
以前なら「うちの店ではこうするのに」と思っていたことも、複数店舗を回るようになってからは、「この店では、こういうやり方なんだな」と、見ることが増えました。
一つの店舗だけで働いているとその店舗のやり方が当たり前になってしまいます。でもいくつかの店舗を見ると、本当にやり方はいろいろです。
人の数だけ普通があるんだな、とひしひし実感しています。
これは、管理薬剤師のときにはなかった感覚です。個人的には結構楽しめてます。
毎回、少しだけ「初めまして」から始まる
一方で、楽なことばかりではありません。
店舗が変われば、そこにいる人も変わります。
同じ会社なので基本的なルールは共通していますが、細かいところには店舗ごとのやり方があります。
「これはどこにある?」
「この場合はどうする?」
と確認することも増えます。
一つの店舗で長く働いていれば、言葉にしなくても分かることがあります。
でも、ヘルプで入る側にはその「暗黙の了解」が分かりません。
毎回少しだけ「初めまして」の状態から入る。
これが思っていた以上に疲れる部分かもしれません。
だから今は店舗ごとにある「暗黙の了解」をできるだけ見える化していくことにも取り組んでいます。
自分が分かればいいのではなく、あとから入る人にも分かるようにしておく。
複数店舗を回る立場になったからこそ、「店舗のクセ」にも目が向くようになりました。
「本部に行く人?」と警戒される
複数店舗を回るようになって、意外だったのがこれです
自分では何かを偵察しに行っているつもりはありません。
欠員があるから、そこに入っているだけです。
でも、店舗側からすると、普段はいない人がいろいろな店舗を回っている。しかも、これまで管理薬剤師をしていた。
そうなると、「この人は何を見に来ているんだろう?」と思われることがあるようです。
実際には、今のところ本部に行くと決まっているわけでもありません。
何かを評価するために店舗を回っているわけでもありません。
ただこちらがどういうつもりであっても、相手からはそう見えないことがある。
これは、複数店舗を回るようになって初めて気づいたことです。
ただの欠員補充なので、そんなに警戒しないでください(懇願)。
移動することも仕事になった
私の場合は基本的に一日の中で複数店舗を回ることはありません。その日は一つの店舗で働いて、翌日は別の店舗へ。
担当する店舗も7〜8店舗程度あるので、毎日同じ場所に通うわけではありません。
ただ、私はかなりの方向音痴。毎日違う店舗へ行くので、「今日の電車、これで合ってるよね?」と、しつこいくらい乗り換えアプリを確認しています。それでも、乗り換えホームを間違えることがあります(謎)。
今のところ、遅刻はしていません。
一つの店舗に固定されていた頃にはなかった「移動の緊張感」も、今の働き方になって変わったことの一つです。
複数店舗を回ると「他の店ではどうしている?」が分かる
複数店舗を見るようになって、一番面白いのはここかもしれません。
同じ会社でも、店舗によって本当に違います。
忙しい時間帯も違う。
スタッフの組み合わせも違う。
仕事の進め方も違う。
それぞれの店舗で、そこで働く人たちなりの工夫があります。
以前なら、自分の店舗を基準に「こうした方がいいのでは」と考えていたかもしれません。
今は、「他の店舗ではどうしているんだろう?」と考えるようになりました。
そして、「このやり方、別の店舗でも使えそうだな」と思うこともあります。
一つの店舗にいるだけでは得られなかった「比較する視点」ができたのは、私にとって大きな変化です。
管理する側から少し離れて見るようになった
一方で、複数店舗を見るようになったことで、自分自身の仕事の仕方についても考えるようになりました。
管理薬剤師だった頃の私は、かなり自分で抱え込むタイプでした。
「自分が何とかしなければ」と思ってしまう。人に任せるのもあまり得意ではありませんでした。
自分でやったほうが早いと思ってしまうし、残業もそれほど苦ではなかったので、気づけば自分で抱えていることが多かったと思います。
管理薬剤師なら、それも仕事のうちだと思っていました。完全にバグってたと今では反省してます。
でも、今は違います。
今の私はヘルプに入った店舗で勤務薬剤師として仕事をします。もちろん、目の前の仕事はきちんとやります。ただ、その店舗のすべてを自分が背負う立場ではありません。ぶっちゃけ、とても気楽です。
その分自分の仕事の仕方を見直す余裕も出てきました。
「全部自分でやらなくてもいいんじゃないか」
「人に任せるというのも仕事なんだな」
そんなことを考えるようになったのです。
ちょうど今の立場になってから、ビジネス書を読むようにもなりました。
その中でも『任せるコツ』は、かなり刺さりました。
「人に任せるのが苦手」と思っていた自分にとって、仕事を任せることについて考え直すきっかけになった本です。
まだまだ実践途中ですが、以前のように「自分でやったほうが早い」と全部抱え込むのではなく、「どうしたら任せられるだろう」と考えるようになったのは、今の働き方になったからこそだと思います。
複数店舗を見ることで、店舗の違いだけではなく、自分自身の仕事のやり方や考え方まで見直すようになりました。
ラウンダーもどき(笑)が自分に合っているかは、まだ分からない
ここまで書いておいてですが、私はまだ「ラウンダーという働き方が自分に合っている」とは言えません。(正確にはラウンダーでもないので、ラウンダーもどきといったところでしょうか)
複数の店舗を経験することで、新しい発見はたくさんあります。今まで一つの店舗に居続けたら気づかなかったこともありますし、自分の仕事のやり方や考え方を見直すきっかけにもなっています。
一方で、毎回違う環境に入る大変さもあります。
どちらが自分に合っているのかは、まだ分かりません。まだ始まったばかりですし、これからこの働き方がどうなっていくのかも分かりません。
なので今は、「ラウンダーはおすすめです」とも「自分には合いません」とも言えません。
もう少し、この働き方を経験してみようと思っています。

